マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン
マンション管理の新たな指針として、国土交通省より外部管理者方式等に関するガイドラインが制定されました。このプレゼンテーションでは、ガイドラインの概要と重要ポイントについて解説します。
株代
by 株式会社マンションみらい設計 代表取締役 三村勝己
ガイドライン制定の背景
1
平成29年6月
「外部専門家の活用ガイドライン」が制定されました。
2
令和5年10月〜令和6年3月
外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループが開催されました。
3
令和6年6月
新たな「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」が制定されました。
外部管理者方式の定義
区分所有者以外の者が管理者に就任する方式
マンション管理業者が管理者に就任するケースが増加しています。
管理業者管理者方式
管理業者が管理者に就任する場合を特に指します。
管理組合の主体性
管理の主体は依然として区分所有者から構成される管理組合です。
ガイドラインの構成
第1章
本ガイドラインの目的と構成について説明しています。
第2章
外部専門家による外部管理者方式等における留意事項を整理しています。
第3章
マンション管理業者による外部管理者方式における留意事項を詳述しています。
ガイドラインの適用範囲
一般的なマンション
従来から想定されていた主な対象です。
投資用マンション
新たに適用範囲に含まれました。
リゾートマンション
こちらも新たにガイドラインの参考対象となりました。
外部管理者方式導入のプロセス
1
説明会の開催
管理業者は区分所有者に対して詳細な説明を行います。
2
重要事項の説明
管理者権限や運営方法など、重要な点を明確にします。
3
区分所有者の合意
導入には区分所有者の適切な理解と合意が必要です。
新築マンションにおける説明のあり方
分譲業者の役割
購入希望者に対して重要事項を情報提供します。
管理業者の直接説明
必要に応じて、管理業者が購入希望者に直接説明を行います。
十分な情報提供
購入前に管理方式について十分な理解を得られるようにします。
管理組合運営のあり方
管理者の任期
原則として1年程度とすることが望ましいです。
区分所有者の意思反映
管理評議会の設置やアンケートの実施が推奨されます。
議決権行使
出席または議決権行使書による行使が望ましいです。
管理者権限の範囲
1
2
3
1
総会決議事項
重要事項は総会での決議が必要です。
2
管理者の権限
日常的な管理業務を行う権限を持ちます。
3
区分所有者の責務
管理組合の主体としての責任を果たす必要があります。
通帳・印鑑の望ましい保管のあり方
口座名義
管理組合財産であることが一見して明らかな名義にすべきです。
印鑑の保管
監事が保管することが望ましいです。
通帳と印鑑の分離
同一主体による保管を避けるべきです。
監事の設置と監査のあり方
外部専門家の選任
少なくとも1名は外部専門家から選任することが望ましいです。
区分所有者からの選任
外部専門家に加えて、区分所有者からも監事を選任します。
小規模マンションの例外
経済的理由等により、区分所有者のみから選任する場合もあります。
利益相反取引等におけるプロセス
1
2
3
1
総会承認
一定金額以上の支出を伴う取引は総会承認が必要です。
2
自己取引
管理業者自身との取引も総会承認が必要です。
3
グループ会社との取引
関連会社との取引も同様に総会承認が必要です。
グループ会社の定義
親会社
管理業者の上位に位置する会社を指します。
子会社・関連会社
管理業者が出資する会社や密接な関係にある会社です。
関連会社を持つ会社
管理業者を関連会社とする会社も含まれます。
大規模修繕工事におけるプロセス
1
修繕委員会の設置
区分所有者と監事から構成される委員会を設置します。
2
外部専門家の活用
設計コンサルタントやマンション管理士の利用を検討します。
3
透明性の確保
工事過程の透明性確保と監事への定期報告を行います。
小規模マンションにおける例外
修繕委員会設置の困難
候補者確保が困難な場合があります。
代替措置
外部専門家の活用と透明性確保が重要です。
監事への報告強化
定期報告を充実させることで対応します。
管理者の退任プロセス
1
退任決定
管理者の退任が決定されます。
2
移行手続き
監事が新管理体制への移行手続きを担当します。
3
新管理者選任
1ヶ月以内を目途に臨時総会を開催します。
規約の記載に関する注意点
固有名詞の回避
規約には管理者の固有名詞を記載しないことが望ましいです。
柔軟性の確保
管理者変更時の手続きを簡素化できます。
一般性の維持
規約の普遍性を保つことができます。
管理者業務と管理業務の分離
契約書の分離
管理者業務と管理業務の委託契約書は別々に作成すべきです。
担当者の分離
管理者業務と管理業務の担当者を分けるべきです。
透明性の確保
業務の明確な区分けにより、透明性が向上します。
区分所有者の意思反映方法
管理評議会
区分所有者から構成される組織を設置します。
アンケート
管理者が区分所有者の意見を集約します。
定期報告
区分所有者に対して月1回程度の報告を行います。
ガイドラインの今後の展望
継続的な見直し
社会状況の変化に応じてガイドラインを更新していきます。
新たな課題への対応
マンション管理の新たな課題に柔軟に対応していきます。
管理の質の向上
外部管理者方式の適正な運用により、管理の質向上を目指します。